プロ野球の失策とは?ルールとエラー・敵失の定義を徹底解説
さらなる熱狂を見せるプロ野球。華麗な守備の裏側で、試合の行方を左右するのが「失策(エラー)」です。「今のプレーはなぜエラーなの?」「敵失と何が違う?」といった疑問を抱くファンも多いはず。本記事では、失策の定義や判断基準、記録の裏側をどこよりも分かりやすく解説します。
プロ野球における「失策(エラー)」の厳格な定義
プロ野球における失策(エラー)の判定は、公式記録員が公認野球規則(Official Baseball Rules)に基づいて厳密に行っています。ここではその核心となる定義を解説します。
公式規則が定める失策の基本概念
公認野球規則9.12(失策の条項)によると、失策とは「野手が普通の守備行為(オーディナリー・エフォート)を行えば、打者をアウトに outpost できたか、あるいは走者の進塁を防ぎ得たと記録員が判断したにもかかわらず、その守備を誤って打者を出塁させたり、走者を進塁させた場合」に記録されます。つまり、守備側のミスによって相手チームに不当な利益が与えられたかどうかが基準となります。
「普通の守備(オーディナリー・エフォート)」とは何か
失策を理解する上で最も重要なのが「普通の守備」という客観的基準です。これは「そのリーグ(プロ野球)の該当ポジションを守る平均的な野手であれば、特別な技量を用いなくても処理できたはずの守備行為」を指します。そのため、野手が目一杯ダイビングキャッチを試みてボールに触れたものの捕球できなかった場合などは、普通の守備の範囲を超えるため「失策」ではなく「安打(ヒット)」として記録されます。
野球用語の疑問を解消!「エラー」と「敵失」の違い
野球中継の速報やテキスト解説で頻出する「エラー」と「敵失」という言葉。これらは全く別の現象ではなく、記録をどの視点から見ているかによって言葉が使い分けられています。
守備側から見た指標が「失策(エラー)」
失策(エラー)は、守備を行った選手およびチームに対するマイナスの記録です。スコアブック上では、ミスをした個人に失策数がカウントされます。守備陣のミスによってランナーが生き残った、または進塁したという「守備側の責任」に焦点を当てた表現です。
攻撃側から見た出塁理由が「敵失(てきしつ)」
敵失とは「相手(敵)の失策」を略した言葉です。これは攻撃側のチームや打者の視点に立った表現であり、出塁や進塁の理由(ファクター)として用いられます。例えば、打者が打ったゴロを相手の一塁手が後逸して出塁した場合、打者の記録は安打(ヒット)ではなく「敵失による出塁」となります。この時、原則として打点は記録されないが、エラーがなくても得点できたと判断された場合は打点が記録される例外もあります。
公式ルールに則る「失策になるプレー」と「ならないプレー」
実際の試合において、どのミスが失策として記録され、どのミスが失策にならないのか、公認野球規則に基づく具体的な実例を分類します。
明確に「失策(エラー)」と判定されるプレー
落球・ファンブル
普通のフライやゴロを、野手がグラブに当てながら落としたり、お手玉して一塁アウトに間に合わなかった場合。
悪送球
野手が一塁や各塁へ投げたボールが大きくそれ、ベースを踏んでいる野手が捕球できずに打者走者や走者を生かした場合。
触塁ミスの誘発
野手からの正確な送球を、ベースを踏んでいる野手が捕球し損ねた(ポロリと落とした)場合。この場合は捕球を誤った野手に失策が付きます。
故意落球(こいらっきゅう)
無死または一死で、走者が一塁、一・二塁、一・三塁、あるいは満塁の局面において、内野手(または内野の守備位置についた外野手)が、通常の守備で容易に捕球できるフェアの飛球(フライ)やライナーをグラブや手で「故意に落とした」と審判員が判断した場合。バッターはアウトになり試合は一時停止(ボールデッド)となります。なお、打者のアウトが成立するため内野手には失策(エラー)は記録されません。ただし、内野手がボールに触れずにそのまま地面に落とした場合は故意落球とはみなされません(※インフィールドフライ宣告時を除く)。
ミスに見えても「失策(エラー)」にならないプレー
投手の暴投(ワイルドピッチ)・捕手の捕逸(パスボール)
投球に関するミスは、公認野球規則上で「失策」とは区別され、それぞれ独立した記録としてカウントされます。
野選(フィルダースチョイス)
フェアのゴロを捕球した野手が、一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球したものの、誰もアウトにできなかった場合。これは野手の「判断ミス」であり、身体的な失策(エラー)とはみなされません。
お見合いによるポテンヒット
公認野球規則では、「飛球を落とした場合、野手がボールに触れたか否かにかかわらず、普通の守備行為で捕球できたと記録員が判断すれば失策を記録する」と定められています。つまり、ボールに触れていなくても失策は記録されます。つまりお見合いであっても、普通の守備行為で捕れたと判断されればエラーになる場合もあります。